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07/22/2026 | Press release | Distributed by Public on 07/22/2026 00:40

「「天気を伝える」から、「行動を支える」へ。Yahoo!天気・災害の30年」を公開しました

「天気を伝える」から、「行動を支える」へ。Yahoo!天気・災害の30年

2026年7月22日 サービス

雨が降る前に、スマホに通知が届く。外出前に雨雲レーダーを見る。
今では当たり前になったそんな体験も、30年前にはありませんでした。

テレビや新聞で天気を見る時代から、PC、携帯電話、スマートフォン、AIへと、天気の伝え方は変わってきました。

どうすれば人に伝わり、行動につながるのか。
Yahoo!天気・災害は30年間、その問いと向き合い続けてきました。
18年間サービスに携わってきた責任者の田中に、「伝わる情報」への思いと、その歩みを聞きました。

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田中 真司(たなか しんじ) Yahoo!天気・災害 サービス責任者/気象予報士
民間気象会社、一般財団法人気象業務支援センターを経て2008年に旧ヤフー入社。「雨雲レーダー」の開発や「Yahoo!防災速報」の立ち上げに携わる。

「天気予報をいつでも見られる」が当たり前に

――この30年で「天気の伝え方」が大きく変わったと感じることはありますか?

一番大きいのは、やっぱりデバイスですね。
30年前は、テレビや新聞が天気予報を知るための手段で、多くの人が、朝のテレビや新聞でその日の天気を確認していました。自分が知りたいタイミングで見るというより、「その時間に見るもの」だったんです。

それが、インターネットの普及によって、自分が知りたいタイミングで天気を確認できるようになりました。
まずPC、ガラケーで見られるようになり、そして今では8割くらいの方がスマートフォンで確認されていますから、天気予報を知る方法は本当に大きく変わったと思います。

時代 天気の伝え方 ユーザー体験
1996年ごろ テレビ・新聞・ラジオが中心 朝、テレビや新聞でその日の天気を確認
2000年代前半 インターネット普及 PCで好きな時間に予報を確認
2000年代後半 携帯電話・GPS 現在地の天気が見られる
2010年代 スマホ・アプリ時代 雨雲レーダー、通知、実況情報
2020年代後半~ AI・パーソナライズ 「あと15分で雨」「あなた向け」の予報

「30周年は、まだぴんとこないですね(笑)。私は30年やっていないので」と田中。2008年の入社以来18年間、Yahoo!天気・災害を担当。気象予報士としては26年にわたり、天気情報と向き合い続けている。

――Yahoo!天気・災害の一番大きなターニングポイントはいつですか?

やはり、2008年のiPhoneの登場が大きかったと思います。私が入社した2008年当時は、まだPCが中心で、Yahoo!天気にもガラケー向けのサービスはありましたが、まだ主役ではなく、補完的な位置付けでした。ちょうどガラケー向けサービスを伸ばそうとしていた頃に、スマートフォンが登場したんです。

その後、「ヤフーのサービスをすべてスマートフォンに対応させる」という号令があり、Yahoo!天気も、まずはスマートフォンで見られるように対応しました。でも当時は、「本当にスマートフォンが普及するの?」という懐疑的な見方も多かったですね。

モバイル版をスマホで見られるよう対応した当時のプロモページ

――本格的にスマートフォンへ舵を切ったのはいつ頃だったのでしょうか。

当時はヤフー全体でもスマートフォン対応、特にアプリへの対応はまだ慎重でした。
ただ、その中ではYahoo!天気は比較的早く対応していたほうだったと思います。

天気予報って、特定の人だけが使うサービスじゃないんですよね。
毎日、多くの人が必要とする情報だからこそ、PCでも、ガラケーでも、スマートフォンでも、その時代に一番使われるデバイスで、ちゃんと見られるようにしておきたい。その思いはずっとありました。

ユーザーとの接点がなくなってしまうと、サービスを使ってもらう機会そのものがなくなってしまいます。だから、まだスマートフォンの利用者が少なくても、少しでも早く対応すべきだと思っていました。

スマホ対応した当時の画面

――そこから、今のYahoo!天気アプリにつながっていくんですね。

そうですね。ちょうどその頃、大阪に新たな開発拠点ができたので、そこでYahoo!天気アプリを開発してもらうことになりました。
さらに2014年、天気・災害サービスの開発拠点を大阪へ本格的に移した時、当時のカンパニー長から言われたのが、「天気アプリを、『ピカピカ』にしてほしい」という一言でした。

――「ピカピカ」......とは?

抽象的ですよね(笑)。
でも、「わかりました」と答えて、大阪のメンバーと一緒に、もう一度ゼロからアプリを作り直しました。
2015年にリニューアルしたアプリでは、シンプルで見やすい画面に加え、雨雲レーダーを中心に据えるなど、より直感的に使えるサービスへと進化しました。

キラーコンテンツは雨雲レーダーだった

――スマートフォン対応以外にも、大きな転機はありましたか?

もう一つ大きな転機になったのが、雨雲レーダーです。

もともとYahoo!天気にも雨雲レーダー自体はありました。ただ、PCやガラケー向けに県ごとの画像を表示するだけのものだったので、「もっと見やすくできないか」とずっと考えていたんです。

そこで、「地図を自由に動かしながら雨雲を見られたら、もっとわかりやすいのではないか」と思いつきました。最初は2009年にSilverlight(※1)で開発し、その後、Yahoo!地図(現在のYahoo!マップ)の上に雨雲を重ねて表示する今のような形へと進化させていきました。

※1 Silverlight
当時、Microsoftが提供していた、地図などをブラウザ上で滑らかに表示するための技術

Silverlight版の雨雲レーダー

――今のように雨雲を見られる形は、Yahoo!天気が最初だったのでしょうか。

そうですね。当時のYahoo!天気アプリの企画書を見返したら、「差別化としてのキラーコンテンツは雨雲レーダー」と書いてありました。その頃はまだ、今のように誰でも見られるサービスとしてはこういうサービスはなかったと思います。

当時はちょうどスマートフォンが普及し始めたタイミングで、外出先でも地図を見ながら現在地を確認することが当たり前になってきました。
スマートフォンと地図、そして地図と雨という情報の相性がすごく良かったんです。それが結果的に、多くの方に使っていただけるようになったんだと思います。

――雨雲レーダーの見せ方の発想はどこから生まれたんですか?

実は、ヤフーに入社する前から考えていました。

テレビでは雨雲レーダーが天気解説によく使われていましたし、東京には「東京アメッシュ(※2)」という便利なサービスがあって、雨が降りそうになると地図を拡大して、自宅の近くに雨雲があるかどうかを確認できたんです。

※2 東京アメッシュ
東京都水道局が提供する雨量・雨雲情報サービス。地図上で雨雲の動きを確認できる。

それを見て、「東京の人たちがこんなに便利に使っているなら、これの全国版を作れば絶対に使われる」そう思って作ったのが、今の雨雲レーダーです。
だから、自分でゼロから作った、という感覚はあまりなくて、「もともとあったものを、もっと使いやすくした」という気持ちのほうが強いですね。

結局、雨雲レーダーもそうですが、「使いやすいものを作ろう」という積み重ねが、結果として多くの方に選んでいただけることにつながったのかなと思っています。

趣味の釣りでも、自然と風や波、天気が気になるという田中。「天気とサービスのことは、常に考えています」。

情報を出すだけでは意味がない

――田中さんは以前から、「情報を出すだけでは意味がない」と言っていますが、その考えは今も変わりませんか?

変わらないですね。

天気予報って、本当はもう少し見方が分かると、もっと便利に使える情報なんです。
未来を予測する情報なので、100%当てることは難しい。それでも、今は以前と比べてかなり精度が上がっています。でも、昔ながらの「天気アイコンを見るだけ」の見方では、それだけでは十分に伝わらないこともあります。
だからといって文字ばかりにしてしまうと、今度は読んでもらえない。

だから、できるだけシンプルに、それでいて必要な情報はちゃんと伝わるようにしたい。 どれだけわかりやすさを詰め込めるか。それをずっと考えています。

予報は未来の話なので、残念ながら100%当たるわけではありません。だからこそ、外に出て「ちょっと怪しいな」と思ったら雨雲レーダーを見て、自分で判断できる。
そういう判断するための材料を、分かりやすく、使いやすく届けることで、少し先の未来を過ごしやすくできたらと思っています。

――機能はどんどん増えていますが、今度は情報が多くなりすぎて、逆に見方が難しくなっている面もありますよね。

そうですね。「何を見ればいいんだろう」と迷ってしまうこともあると思います。
でも、結局ユーザーが知りたいことって、とてもシンプルなんですよ。

1番は今日の天気。2番は明日の天気。3番は週末の天気。
あとは「雨が降るかどうか」。

もちろん、「あれもあったほうがいい」「これもあったほうがいい」と新しい機能は考え続けています。
でも最後は、そこに戻ってくる。だから今でも、どれだけわかりやすく伝えられるかを突き詰めています。

気象予報士を目指した頃の夢は「空を見て暮らしたい」だったそう。「でも今は、毎日新しいデバイスやAIと向き合いながら、次の天気予報の伝え方を考えています」

AI時代でも、最後は人が伝える

――天気とAIの相性は、どう見ていますか。

天気とAIの相性は抜群にいいですね。これからが本当に楽しみです。

実は天気予報って、AIや機械学習をかなり前から活用してきた分野なんです。気象庁も民間の気象会社も、昔からそうした技術を使って予測精度を高めてきました。

その流れがさらに進んで、物理方程式を解くだけでなく、AIが直接予測を行うような技術も出てきています。これからは、より速く、より精度の高い予報ができるようになると思っています。

もう一つ期待しているのが、一人ひとりに合わせた天気予報です。
今は市区町村単位で予報を届けていますが、たとえば「今日は名古屋から東京へ移動する人」や「夜勤で昼間は寝ている人」など、その人の予定や生活に合わせた予報ができるようになるかもしれません。
AIによって、よりユーザーに寄り添った天気予報が実現できる。そこはすごく楽しみにしています。

――AIが発展すると、人の役割はどう変わるのでしょうか。

今は予報の精度を上げるために人が資料を確認したり、最終判断をしたりしていますが、そういう部分はこれからAIに任せられることが増えていく。その一方で、人にしかできない役割もあると思っています。

たとえば、「なんでこういう予報になったの?」と説明したり、本当に気をつけてほしい場面で熱量を持って伝えたり。
「大雨の確率100%です」と伝えるだけではなく、「今日は雨がひどくなりそうだから、5時までには帰ったほうがいいですよ」そんなふうに伝えることですね。
一番わかりやすいのは、お母さんが「今日は傘を持っていきなさい」と声をかけるようなものです。

――確かに。「上着も持っていきなさい」とか(笑)。

そうそう(笑)。
降水確率60%と言われても、それだけでは人は判断しにくい。
だから、伝えるべきことを分かりやすく解釈して届ける。そういう役割は、これからも人が担っていくんじゃないかなと思います。

――AIなら一人ひとりに合わせた天気予報も届けられる。でも、人だからこそ伝えられることもある。その両立が大事なんですね。

そう思います。だから今は、AIをどう使うかという環境づくりを進めています。

たとえば、今ある天気予報をAIでもっと分かりやすく伝えられるようにする。そのためには、AIが理解しやすいデータを整えることも必要です。
まずは、AIを活用して「より分かりやすい天気予報」を届けられるようにしていきたいですね。でも、AIがどれだけ進化しても、最後に判断するのは人です。

――その考え方は、災害情報にも通じますね。

そうですね。気象災害って、実は毎日の天気の延長線上にあると思っているんです。
晴れなのか、雨なのか。その雨が大雨になり、災害につながる。
だから普段から天気に興味を持って見ていると、災害に対する見方も変わってくると思っています。

Yahoo!天気では、いろいろな情報を提供していますが、それは「判断するための材料」をできるだけ届けたいからなんです。

たとえば雨雲レーダーもそうです。「3時から雨が降ります」と聞いていた人が、自分で雨雲レーダーを見るようになると、「3時半までは大丈夫そうだな」とか、「この雨雲をやり過ごせば、その後は降らないな」と、自分で判断できるようになります。

災害情報も同じで、普段から情報に触れていると、自分なりの判断軸が少しずつできてきます。
「このくらい雨が降ると近くの川はこのくらい増水する」「警戒レベル4になるとこの辺りは危ない」そういう感覚が身についていく。
だから僕たちは、できるだけ多くの判断材料を提供したいと思っています。

――AIが進化すると、つい判断も任せたくなってしまう気もしますが...。

そこはすごく難しいところですね。もちろんAIがサポートできることは増えていくと思います。でも災害時は、最後は自分で判断しなければいけない。
たとえば、「避難してください」と指示が来るのを待っていたり、情報を探しているうちに逃げ遅れてしまったり、という話も実際にあります。

だから、普段から情報に触れて、「ここを見れば判断できる」という感覚を持っておくことが大切です。

AIがどれだけ進化しても、最後は自分の五感で状況を見て、自分で判断する。
そのための材料を届けることが、私たちの役割だと思っています。

――AIが判断まで担えるようになったとしても、その線引きは難しいですね。

そうですね。AIがどれだけ賢くなったとしても、100%予測を当てることはできません。
それに災害って、気象現象だけで決まるものでもないんです。
だから、AIに「こう言われたから」とそのまま受け取るのではなく、最後は自分で判断するという部分は残しておくべきだと思っています。

たとえば避難経路を案内することも、技術的にはできるかもしれません。
もちろん、やれるならやりたい気持ちはあります。
でも、「できるからやる」ではなく、それが本当にユーザーのためになるのか。
そこは考え続けなければいけないと思っています。

30年たっても、まだやりたいことがある

――Yahoo!天気・災害は、この30年で多くの方に使っていただけるサービスになりました。

でも、まだまったく満足していないです。

僕たちは、一番使いやすい天気サイト、一番使いやすい天気アプリを作っていると思っています。だから、もっと多くの方に使っていただきたいですね。

天気アプリって、ニュースみたいにいくつも見比べるものではないし、「これが一番使いやすい」と思ったものを、ずっと使い続ける方が多いですよね。
だからこそ、選んでもらえるサービスであり続けたいですし、「もっと伝わる方法があるんじゃないか」と、今でもずっと考えています。

――では、10年後のYahoo!天気・災害はどうなっていると思いますか?

形は大きく変わっているかもしれませんね。Yahoo!天気・災害というサービス単体ではなくなっている可能性もあると思います。

でも、「今日の天気は?」「明日の天気は?」と知りたいというユーザーのニーズは、きっと変わりません。
だから、必要な情報をわかりやすく届けるという仕事は、これからもなくならないと思っています。

――サービスの形は変わっても、本質は変わらない。

そうですね。
たとえば、何の説明もなく「今日の荷物はこれです」と言われて傘を渡されても、「なんで?」って思いますよね(笑)。

「明日は雨が降ります」という情報があって初めて、「だから傘が必要なんだ」と納得できる。
理由がわからなければ、人は行動できません。だから、情報と行動はセットなんです。
その「なぜ必要なのか」まで伝えることは、これからも大切なんじゃないかなと思っています。

――最後に、これから実現したいことを教えてください。

やっぱり、新しい天気予報の伝え方ですね。

これまでPCやスマートフォン、AIと、時代が変わるたびに、天気予報の届け方も変わってきました。そして、やれること自体もどんどん変わってきています。
だから、たとえば5年後は、今のように画面を開いて「今日」「明日」の天気を見る、という世界じゃないかもしれない。

そんな、まだ誰も見たことのない天気予報の伝え方にチャレンジしてみたいと思っています。

「機能を考えるとき、現実はいったん置いておきます(笑)」「これできたら良くない?」とまずは無邪気に言ってみるという田中。その自由な発想が、Yahoo!天気・災害の進化を支えています。

取材日:2026年6月30日
文:LINEヤフーストーリー編集部 撮影:日比谷 好信
※本記事の内容は取材日時点のものです

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