10/28/2026 | Press release | Distributed by Public on 10/28/2026 20:13
外務大臣 茂木敏充 殿
私たち下記署名団体は、米国政府から極めて強い圧力を受けている国際刑事裁判所(ICC)について、日本政府が毅然とした、原則に基づく姿勢でICCを支持するよう要請いたします。
ご承知のとおり、米国政府は2026年10月9日、ICCそのものに制裁を科しました。これは、国際正義と法の支配に対する前例のない攻撃です。今回の制裁は、米国やイスラエルの当局者の訴追を阻むためにICCの解体を狙うトランプ政権が、攻撃をさらにエスカレートさせたものです。世界各地の重大な国際犯罪の被害者に正義をもたらすことこそがICC設立の目的であり、米国政府によるICCへの攻撃は、まさにそれを脅かすものです。
ICCは、誰も法の上に立つことがないようにするためにこそ存在しており、最後の砦であるこの重要な裁判所を守る責任は、すべての締約国にあります。ルールに基づく国際秩序を重んじる締約国として、またアジア太平洋地域の主要国として、日本政府が果たすべき役割は極めて大きいものです。さらに日本政府は、現所長の赤根智子判事を含め、これまで3人のICC判事を送り出してきました。その赤根所長自身も8月に米国の制裁対象とされており、日本政府にはICCを守る特別な責任があると考えます。
日本政府が10月10日、カナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、英国の外相とともに共同声明を発出し、米国の制裁を「遺憾に思い、強く反対」すると表明したことは、重要なメッセージとなりました。2025年2月以降、有志の締約国による共同声明が何度か出されてきましたが、日本はこれまでいずれにも加わっていなかっただけに、今回の参加は意義ある一歩と受け止めております。日本も構成国となっているICC締約国会議議長団(ビューロー)が声明を出したことも、心強く受け止めています。ICCに不可欠な政治的支持を今後さらに強め、広げ、継続していくため、以下を要請します。
あらゆる機会を捉えて、米国政府によるICCへの制裁を強く非難すること。ICCとその世界的な使命への揺るぎない支持を改めて表明し、ICC、その職員、ICCに協力する人々への制裁を可能にしている米国大統領令の撤回を求めること。11月2日の国連総会でのICC年次報告審議や、ハーグで開かれる次回締約国会議は、その重要な機会です。
日本などは、米国を含む「非締約国との建設的かつ包括的な対話」に取り組む姿勢を示してきました。こうした対話は、一貫した、原則に基づくものでなければなりません。対話の主眼は、ICCへの支持を示し、ICCに対する制裁への反対を伝えることに置かれるべきです。ICCの司法機能・訴追機能の独立性に(たとえ間接的であっても)圧力をかけるような、トランプ政権との「妥協」を探る方向に向かってはなりません。まして、訴追免除や補完性などの問題をはじめ、ローマ規程の根幹を実際に損なう措置をとることなど、あってはなりません。
この点は、日本政府にとって特に重要と考えます。大臣は10月9日のメッセージで、制裁を深く懸念すると表明される一方、ICCが抱える課題にICCや締約国が対処することの重要性にも触れられました。翌10日にはルビオ米国務長官に日本政府の立場を伝えられましたが、報道によれば、同長官は制裁は必要だとの立場を崩さなかったとされています。日本政府が米国政府、赤根所長、そして他の締約国と緊密に意思疎通を続けるとしていることを、私たちは歓迎します。ただし、ICCの課題をめぐる議論は、ICCが正義を実現する力を強めるためのものであるべきで、米国の圧力を受けたもの、あるいは圧力に配慮したものと受け取られるようなものであってはならないと考えます。
8月に赤根所長が制裁対象とされた際、日本政府は、この措置は日本の立場と相いれないと表明しました。しかし日本政府はこれまで、大統領令の撤回、そしてICCそのものへの制裁を含むいかなる制裁の解除も、自国の名で公に求めてはいません。今こそ日本政府が、自国の名において公に、また米国との二国間のやりとりにおいても、大統領令の撤回と、ICC、赤根所長をはじめとする職員、そしてICCの活動を支える人々に対するすべての制裁の解除を、はっきりと求めるよう強く要請します。
世界で最も重大な犯罪に正義がもたらされるかどうかは、自ら創設した裁判所であるICCを締約国が支え抜く決意にかかっています。日本政府がこの重大な局面にしっかりと応えられることを切に期待しております。
敬具
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